銀行口座契約者死亡後の預貯金解約手続き
銀行口座契約者(被相続人)が亡くなったとき、相続人はどのようにして預貯金解約の手続きをすれば良いのでしょうか。以下説明をします。
まず、被相続人が亡くなったことを知ったときから7日以内に、相続人は死亡届を提出しなければなりません(戸籍法86条1項)。
被相続人が貯金していた金銭も相続の対象となりますが、相続手続きを開始するためにはまず死亡届を提出しなければならないことに注意が必要です。
次に、死亡届を受け取った役場が銀行に死亡の事実を伝えてはくれませんので、相続人が銀行に行き、口座凍結に関する連絡をします。仮に口座を凍結させないと、相続人が相続される筈の預貯金を勝手に引き出せてしまい、持ち逃げ等のトラブルになることが多いため、口座凍結は死亡届の提出後早めに済ませておく必要があるでしょう。
ただ、口座が凍結されてしまうと、相続人全員の同意を得ない限りは、相続の手続きが終了するまで金銭を引き出すことができなくなってしまい、葬式の費用等で使用するまとまったお金が引き出せないといった不具合がありました。
そこで、民法改正によって、相続人の同意が得られなかったとしても、
引き出し可能額=被相続人の預貯金×相続人の法定相続分×3分の1の額を引き出すことができるようになりました。
※一つの金融機関につき上限150万円
例えば、被相続人の預貯金額が300万円、相続人の法定相続分が2分の1とすると、相続人は、
引き出し可能額=300万円×2分の1×3分の1=50万円
まで引き出すことができるようになりました。
ただ、引き出す際には、「引き出す相続人の印鑑証明書」「被相続人の戸籍謄本」「被相続人の除籍謄本」「相続人全員の戸籍謄本」を準備する必要があります。
最後に、相続手続きに必要な書類の説明をします。
⑴ 遺言書がある場合
遺言がある場合には、遺言のとおりに権利義務が承継されますので、比較的少ない書類で解約することができます。
・公正証書遺言以外の場合には、検認調書又は検認済調書
・被相続人の戸籍謄本
・遺言執行者又は相続人の印鑑証明書
・遺言執行者が選任されている場合は選任審判書謄本
⑵ 遺言書がない場合
遺言書がない場合には、遺産分割協議書があるかどうかによって必要な書類が変わります。
① 遺産分割協議書があるとき
・遺産分割協議書
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
・被相続人の戸籍謄本と除籍謄本
② 遺産分割協議書がないとき
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
・被相続人の戸籍謄本と除籍謄本
以上は大まかな記載ではありますが、場合によって用意する書類が所々異なることに注意が必要です。なお、その他にも金融機関によって必要な書類は異なることがありますので、解約手続きの際には金融機関にお問い合わせください。
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