FXや株でできた借金は債務整理できるか?
債務整理には大きく分けて「自己破産」「個人再生」「任意整理」の3種類があります。
FXや株に関しては、「自己破産」において明文上の規定が存在するため、他2つの手段と分けて説明します。
自己破産とは、自分の積もった借金が返せず支払不能になってしまったときに、裁判所に申立てて借金を無くしてもらうことをいいます(破産法15条1項、同法30条1項)。
クレジットカードを使うことが出来なくなり、自分が所有する不動産等の財産が売却されてしまうかわりに、自分の借金を原則として全て帳消しにできるため、債務整理としては一番はっきりしたものと言えるでしょう。
ただし、自己破産においては、自分が負っている借金が責任を免れることができない場合(免責不許可事由)が規定されており(同法252条参照)、FXや株といった投資関係で発生した債務は、「浪費又は賭博その他の射幸行為」(同法252条1項4号)にあたるとされています。よってFXや株において借金をしてしまった場合、自己破産が許可されない可能性があるので気をつけなければなりません。
もっとも、上記のギャンブルのような免責不許可事由によって借金ができたとしても、裁判所が「破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるとき」(同法252条2項)は、免責許可の決定をすることができることを定めています。
「一切の事情」としてよく挙げられるのが、破産手続きにおいての協力態度です。
例えば、債権者会議に参加しなかった場合や、手続きにおいて虚偽の申告をしたような場合においては、反省が見られないということで免責が許可されなくなってしまいます。
また、借金の額が軽微である場合には、裁量によって免責が認められやすい傾向にあります。以上から、事情によっては、FXや株においてできた借金であっても、自己破産ができる可能性があるということを認識しておくことが肝要です。
次に、個人再生とは、住宅等の財産を残したまま借金を大幅に減らしてもらい、約3年かけて借金を返済していく制度のことをいいます。こちらは借金の原因について規定はないので、投資によって発生した借金を減らすことができます。
ただ、個人再生で一般的に使われている「小規模個人再生」という手続きは、債権者の半分以上の反対があったとき、又は総借金額の半分を超える反対があった場合には、手続が打ち切られてしまうことがあります。また、「給与取得者等再生」という手続きは、安定した収入が見込まれる人でなければならないため、注意が必要です。
任意整理とは、債権者と話し合いをして、債務額を減らしてもらうことや、利息をカットしてもらうことによって借金を減らし、3年から5年で返済することをいいます。こちらも、債権者の協力必要であることや、比較的短期間で返済しなければならないことから、株によってできた借金が少額である場合には有効な手段であると言えるでしょう。
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