土地だけ相続放棄することはできる?不要な土地を手放す方法とは
人が死亡すると、相続が生じます。相続とは、被相続人の死亡時に被相続人に属していた一切の権利義務が相続人に包括的に承継することをいいます。
ここでいう権利義務には、現金・預金、借金のほか、土地などの不動産も含まれます。
土地の保有には固定資産税や都市計画税といった税金がかかるうえ、維持管理に費用を要するため、土地を相続したくないと考える方も少なくないでしょう。
では、土地だけ相続放棄することはできるのでしょうか。
このページでは、土地だけ相続放棄することの可否・不要な土地を手放す方法についてご紹介します。
■土地だけ相続放棄することの可否
・相続放棄とは
相続放棄とは、相続人とならない旨の意思表示で、相続放棄を行うと、相続が生じた時点、すなわち、被相続人が死亡した時点で相続人たる地位を有していなかったものとなります。
遡って相続人ではなくなるため、負債などの義務はもちろんのこと、不動産や預金を含む権利も一切相続しません。
・土地だけ相続放棄することの可否
相続が生じた場合に相続人がとることができる相続への対応は、「単純承認」「限定承認」「相続放棄」に限られます。
単純承認とは、権利・義務の一切を相続分に応じて承継することです。
限定承認とは、権利義務を承継するものの、負債に関しては、承継した権利の範囲で負担するとするものです。
プラスの遺産よりもマイナスの遺産(負債)のほうが多い場合などに使われます。
そして、相続放棄は上述の通りですが、遺産の種類を限定して相続放棄することは民法上認められていません。
そのため、結論としては、土地だけ相続放棄することはできないということになります。
■不要な土地を手放す方法
相続放棄によって相続人たる地位を放棄する意思がない場合、不要な土地をいかに手放すことができるのでしょうか。
主に以下の方法が挙げられます。
・相続土地国庫帰属法に基づく不要な土地のみの国庫帰属
2023年4月27日から、相続土地国庫帰属法が制定されます。
相続土地国庫帰属法に基づく相続土地国庫帰属制度とは、相続または相続人に対する遺贈によって土地を取得したものが法務大臣に対し、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を求めることができる制度をいいます。
これに対して、法務局が審査を行い、承認申請者が負担金を納付することによって、土地の所有権が国庫に帰属されます。
同制度によって、土地のみを手放すことが可能となり、また、相続放棄と異なり、期間の制限がありません。
なお、建物が存する土地や担保権が設定されている土地などは対象となりません。
・土地の売却
土地を手放す方法として、売買契約に基づく所有権の移転が考えられます。
自分にとっては価値のない土地であっても、当該土地を必要としている人はいるかもしれません。
場合によっては高値で売却することができます。
個人で土地の売却相手を探すことが困難な場合には仲介会社等に相談することが必要となります。
不動産の価格は不動産会社の査定によって算出することができます。
・土地の寄付
売却と異なり、売却代金は得られないものの、土地を手放す方法として土地の寄付があります。
寄付の相手方は、個人や自治体・公益法人が考えられます。
自治体に対する寄付は、寄付採納申請という手続きを経ることで行います。
これを受け取った後、自治体ごとに定める基準を満たしていた場合、自治体は土地の寄付を受け取ることになります。
以上のように、相続放棄によって土地のみ手放すことはできない一方、そのほかの方法で手放すことはできます。
司法書士は、相続について法律の観点からアプローチし、ご家族にとって最適な相続を実現いたします。
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